店名の花言葉が表すママの人柄

|スナックHARAN

「スナックHARAN」。名前の由来は料理の仕切りで使われることもある“ハラン”から来ている。実はハランは元々「葉蘭」という植物で、その花言葉には「平癒」という意味もあるのだとか。そんな由来からも、「人を癒すのが好き」というこの店のママの温かさを感じる。スナックをコロナ禍の2020年4月にオープンして早3年。開店に至るまでのストーリーを、ひとみママに聞いた。

青春時代はバイクの後部座席に乗って

「中学、高校時代はよく遊んでいました。ちょっと悪いこともして……」と、笑顔で当時を振り返るひとみママ。ママの学生時代は、バイクこそ青春の証。甲高いマフラー音を響かせるバイクの後ろに乗り、夜の街を颯爽と走っていたという。そんな少しやんちゃな一面もあるママを、当時から慕う人は多い。

「小さい時から波乱万丈。何もなかったことがないぐらい、平凡な日々ではありませんでした。そんな時代からの友人も、このお店に来てくれるんですよ。グラス片手に若いころの思い出を語り合ったりね」

「葉蘭」の花言葉を表したようなママの人柄

高校卒業後は、看護の専門学校に通い看護師となる。その理由を聞くと「人を癒すことが好きなの」とひとみママ。それもそのはず、インタビューの合間合間でも、常に口元には笑みが浮かぶ。癒されるには、誰かの笑顔が必要だ——そんなことを、自ら体現しているようで、会話の心地よさが、この店の居心地の良さにも感じられる。

その後、離婚を機に看護師を辞め、職業訓練校に通い始めたひとみママ。「周りは大卒の人ばかりで。その人たちに追いつけ、追いこせで夜三時まで勉強したこともありました。あの時は本当に努力しましたね」

実は「葉蘭」の花言葉には、「平癒」の他にも「強い心」という意味もあるのだとか。向上心のあるママにはまさにぴったりの言葉だ。そして、その挑戦の心は衰えることはない。

「実はそのあと、全く違う業界ではあるんですがIT系の会社に就職したんです。なんでかな……、当時、自分の中に『今までと全く違う人生を歩んでみたい』という思いが芽生えて。そうしたら、ちょっとしたご縁でなんと中学校の学生さんたちに『情報』を教える先生をすることになったんです。そんな経験を通して、それでやっぱり子どもも大好きだな、と再確認したり」

「そうだ、私スナックがしたかったんだ!」

そんなひとみママが、なぜスナックをオープンすることになったのか。

「それからもWebデザインの勉強をしてみたりもしたんですけど、いざ就職ってなるとなかなか働き先がない。さあどうしたものかと思った時、スナックの選択肢がパッと浮かんだんです。というのも、元々うちは母がスナックをしていて、当然そこを継ぐものだと昔は考えていたんですけれど、母は店を閉めてしまって、もう自分が継ぐことはないだろうと思って、すっかり抜け落ちてしまっていたんです。そしたら『あるじゃん、私がやりたかったこと!』と思い出して」

そして思い立ったが吉日、すぐに物件を探し始めた。そして2020年4月、オープンに漕ぎ着けた。しかし、当時はじわりじわりと世間がコロナ禍の闇に蝕まれていっていた時期。オープンして客足が伸びない日もあったが、それでも続けている理由は「楽しいからですよ」と、ママはきっぱり答えた。

ママの「楽しい」が凝縮された空間

楽しみこそが、生き甲斐になる。ママの最近の“楽しみ”は、本業のスナック経営だけでなく、なんとアニメや漫画の世界にもその“楽しみ”は広がっているのだとか。

「東京リベンジャーズのドラケンっていうキャラクターにものすごく心酔しているんです! お客さんからもドラケンのグッズをもらうことが多くて、これもそう」とグッズの旗を持ちながら熱く語るママ。辺りを見渡すと作品のグッズが至る所に。推しへの愛が伝わる空間に仕上がっている。そんなママの「好き」が凝縮された空間こそ、スナックの醍醐味なのかもしれない。

息子も顔を出す、心温まる「スナックHARAN」

“推し”についてひとみママが熱く語っていると、スナックの扉が静かに開いた。お客様かと扉に目をやると、そこには若い青年の姿が。「うちの息子です」とひとみママが言うように、なんと偶然、息子の大士(ひろと)くんが店にやってきた。近くの美容室で働きながらスナックに顔を出すこともあるそうだ。

せっかくなのでと親子でのツーショットを撮らせてもらっていると、「目元が本当に私とそっくり。気持ち悪いくらい(笑)」「それに歩き方も似てるもんね。上から見るとよく分かる」と、二人で向かい合いながら話が盛り上がる。

和気あいあいとした親子の会話に次いで、店への展望も伺った。すると返ってきたのは「公園のベンチ」という一言。「公園のベンチのように、ふらりと立ち寄った人を癒していきたい」とママはまた笑顔で語った。

取材=恒吉浩之、原稿執筆=伊藤駿平、撮影=田村昌士

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Data

岩倉ひとみママ

宮崎市出身。昭和歌謡好きで、好きな歌手は中森明菜、欧陽菲菲etc。もちろん店内ではカラオケも歌える。

住所
宮崎市高松町3-35 西銀座ビル2F
西銀座ビル
電話
営業時間
20時30分〜翌1時
定休日
日曜日(営業する日もある)
喫煙
ok
席数
カウンター=6席、ボックス4席
料金体系
90分飲み放題4,000円(ボトルキープ=時間無制限3,500円)、カラオケ歌い放題
軽食
なし(注文可)
決済方法
現金
Webサイト・SNS
Instagram

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