扉の先に広がる、銀座のクラブのような気品ある空間

|スナック Adagio(アダージョ)

ゆるやかな空気が流れる店、アダージョ

どんな花を飾るか、どんな酒を置くか、どんな箸袋を使うか。小さな気配りと心遣いが行き渡った、一つ一つのこだわりから感じる、ママのポリシー。「こんな店にしたい」という思いの強さは、客の心を掴んで離さず、そのポリシーに共感する客層を自然と引き寄せるものだ。

今日向かうのは、「LUXURY LOUNGE」をうたう、中央通りの「Adagio(アダージョ)」。音楽用語やイタリア語で「ゆるやかに」を表すその名の通り、扉を開けると心をときほぐす空気と高級感が漂う。

心地よさがありつつも、襟を正して入りたくなるスナック

「スナックの手軽な料金で、クラブの雰囲気を味わっていただくのがアダージョのコンセプトです」。そう話すのは、店を切り盛りする濱川久美子ママだ。元々はOL時代も長かったママ。「当時、素晴らしい上司に社会人として一流でいることの心構えを教わったことは、大きな財産になりました」と振り返る。

実のところ、ママは二十数年前から占いもしており、そちらの仕事が忙しくなって以前の職場を退職。占い師業の傍ら「40を過ぎたら勢いがあるうちに次の仕事を始めよう」と、2007年にアダージョをオープンした。

店に置く酒は「ヘネシー」「オールドパー」「ジャックダニエル」といったウイスキーをはじめ、焼酎は「月の中」「?ないな」「明月プレミアム」「川越」など、スナックには珍しいラインナップも揃える。常連の客の中には、切り子ガラスの美しいマイグラスを置く人もいる。

「店のコンセプトは、オープン当初から変わっていません。時には『セット料金を上げたら?』と助言をいただくこともありますが、この雰囲気を気負わない値段で味わえるのがアダージョの魅力だと思っています」

しかし、単に「誰でもどうぞ」と扉を開け放しているわけではない。クラブのような高級感があるからこそ、筆者もアダージョには“心地よいハードル”のようなものを感じる。「夜の店だから、お酒を飲む場所だから、騒いでも良い」という感覚の客は見受けられず、大人の酒の嗜み方を理解している客が、今日もグラスを傾ける。実際、「銀座が懐かしくなったら、この店に来る」という客もいるそうだ。

アイディアひとつで、客との絆を紡ぐことができる

ママ曰く「経験や伝手がないからこそ、できることはなんでもチャレンジする」のがアダージョの精神だ。オープンした2007年当時にはまだ珍しいことだったが、店の宣伝になるならと真っ先にホームページを開設。2012年から始めているブログは、今もほぼ毎日と言っていいほど更新しており、これが客とのコミュニケーションツールの一つにもなっている。

「コロナでニシタチにも人通りがパタリとなくなった時にも、単に店を閉めているだけではもったいないと、先払い制の『クラウドキーピング』も試してみました。アダージョは6割近くが県外からのお客さまですが、遠方で宮崎に足を運べない方にも好評でした」

「スナックはアナログでなければならない」というルールはどこにもない。ホームページも、SNSも、独自のサービスも、店と客をつなぐには重要なツールなのだ。ちなみにGoogleマップ上にも、来店客が口コミをしばしば書き込むことから、他のスナックに比べアダージョの情報は非常に充実している。

ママは毎年、年頭のブログには「楽しくなければAdagioアダージョじゃない」の合言葉をつづる。「泣いたり笑ったりしながらも、結果楽しければいい」というママの思いで、一年を通してさまざまなイベントも企画。周年を迎える7月には浴衣イベント、10月にはハロウィンで仮装も楽しむそうだ。

ちなみに筆者の手元にもイベントを知らせる葉書が届くのだが、こうした小さな心配りにも、一流のクラブのような心意気を感じざるを得ない。仲間とゆったりと酒を楽しみたいとき、自分自身と向き合いたい時、アダージョはいつでも我々を優しい微笑みで出迎えてくれるのだ。

取材・執筆=田代くるみ、撮影=田村昌士

看板 (2)

Data

濱川久美子

宮崎県宮崎市出身
占いができる久美子ママ。最近はお休み中だが、ゴルフも大好き。3月からは店でスタンプカードサービスもスタート

住所
宮崎県宮崎市中央通7-30
川崎ビル2F
電話
0985-31-0195
営業時間
20:00~翌1時
定休日
不定休
喫煙
ok
席数
カウンター=10席、ボックス=13席
料金体系
飲み放題90分=3,500円(ボトルキープの場合=3,000円)。ボトルキープは3,500円〜
軽食
あり
決済方法
現金、クレジットカード、PayPay、auペイ
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