今夜はご褒美ウイスキーで乾杯!
|スナックMiwa
170種超のウイスキーがお出迎え
「スナックMiwa」の扉を開けると、まず壁面に並ぶ170種超のウイスキーボトルラックに目を奪われる。スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、そしてジャパニーズウイスキーまで幅広く取り揃えられており、中には貴重なボトラーズのものチラホラ。
「本当にここはスナック?」と美和ママに聞くと、「えぇ、そうですよ!」と小気味よい返事が返ってきた。
シガーやボトルが並ぶカウンター越しに、佐土原町出身という美和ママにお店がオープンするまでのストーリーを聞いてみた。美和ママ、実は23歳ごろまで県北・延岡のスナックに勤めていたのだそう。
「当時働いていたスナックは客層も若くて、カラオケでワイワイと盛り上がるようなお店だったんです。もちろん、そういうところも楽しくていいんですよ。でも、私がやるならもっと静かなお店で、お酒を飲んでお客さんにリラックしてもらいたくて……。それで、宮崎で一番大きな繁華街のニシタチで、1から自分でやってみようと思って」
「自分の理想の店は、自分じゃないとつくれない」と、美和ママが独立したのは31歳のとき。偶然空き物件を見つけ、現在も営業を続けるサンシャイン宮崎ビルの4階に入居した。当時はまだ客もついておらず、最初の1年は「とりあえず実験的に」と、スタンダードなスナックスタイルで焼酎キープを用意し、カラオケも置いた。
「でも、焼酎とカラオケだとやっぱりちょっと騒がしくなっちゃうじゃない? うちのスナックでは、美味しいお酒と、あとは気兼ねなく楽しめるおしゃべりを大事にしたかったから、どうしようかと悩んでいたんですよ。そこで、お酒の棚の一番上だけにウイスキーを置いてみたら、お客さんがみなさんキープがあるのにウイスキーを頼んでくれるようになって! 当時はまだウイスキーは今ほど親しまれていなくて、酒屋さんからも『宮崎は焼酎やから、ウイスキーは流行らんよ〜』って言われたんですけれど、置いてみたら興味を持ってくれる人はたくさんいたんですよね」
これはいけるかもしれない、と踏んだ美和ママは、それから焼酎を店からなくし、カラオケもやめ、ウイスキー一本で「スナックMiwa」をリスタートさせた。この頃、世間は焼酎ブームに火がつき、安価で質の高い焼酎が売れ始めたタイミング。宮崎のスナックも焼酎に力を入れ始めた“分岐点”での思い切った舵取りだった。
自分のための一杯を手頃な価格で
元々ウイスキーに造詣が深かったというわけではなかった美和ママ。そこからはひたすら仕入れたものをテイスティングし、勉強を重ねる日々が続いた。わからないことがあれば酒屋に電話をして知識を乞うたり、今ではネットですぐに調べながら知見をため、ママお手製の「メニューブック」は、ママのウイスキー学習録にもなっている。美和ママの“凝り性”が垣間見えるはずだ。
「うちのウリは、普段はなかなか飲めないものもできるだけ手が出しやすい値段でお出ししていること。バランタインの30年であれば、一般的には6,000円ほどするものを2,200円で出してるんです。頑張った日、美味しいお酒を飲んでみたい日の一杯に、ちょうどいい価格で、というのがMiwaのモットーね」
美和ママ曰く、ウイスキー好きの玄人はもちろんだが、女性お一人、若者、そしてウイスキー初心者も大歓迎とのこと。
「なんとなくの好みだけ教えてもらえれば、いくつかご提案しますよ。『飲みやすいもの』『クセがあるもの』とか、それくらいの“ざっくり感”でOK。私も今までたくさん飲んできましたけど、何杯も飲むと酔っちゃって分からなくなるし(笑)。まずは一口目でウイスキーの香りと味わいを堪能してもらえると嬉しいですね」
ママのホットトピックスは「サーフィン」
少しキーが高くて、ゆったりとした語り口調の美和ママには、「癒し系」というワードがぴったり。ところが、そんな美和ママがここ3年ほどでずっぷりとハマっているのが、実はサーフィンだ。
「昔は超がつくインドア派だったんですよ。本が大好きだから、休日は決まって読書だったし。それが、3年前の夏にふらっと青島に出かけて海にちょっと入ってみたら、全然泳げないし『海でどう楽しめばいいの〜?』と手持ち無沙汰になっちゃって。本来ならそれでおしまいなんだろうけど、やっぱり凝り性なのかな? 無性に『え〜! 私も海を満喫したい!』と思ってしまって、それからボードとキャリーを担いでほぼ毎日市街地から青島まで自転車で通ってました(笑)」
(笑)とは書いたが、市街地から青島まで自転車は相当な距離がある。笑って話せる距離のレベルではないのだが……。
「最初は波にも乗れなくって、ず〜っとパドリングしてたんです。毎日毎日。そしたら、地元のサーファーの人に『あなたは一体何者なの…?』と声をかけられたこともあって。確かにどこまでもパドリングし続ける人がずっと海の上にいたら不審ですよね(笑)」
今ではすっかり波乗りも習得し、青島の心地よさに魅了された美和ママは、海沿いにお引っ越し。「サーフィンをやりたいと思ってる人がいたら、ぜひお話に来てくださいね!」と笑顔で話してくれた。
Data
河野美和ママ
宮崎県佐土原町出身。延岡でスナックに勤務したのち、自分で店を持ちたいと31歳でニシタチで独立開業。サーフィン・読書好きで、青島在住。