アイドル店長がニシタチに吹かせるエンタメの風
|ENTERTAINMENT SNACK FARCE
ニシタチの長い歴史を知るダイヤモンドビルの3階に、2022年1月、とてもユニークなスナックがオープンした。扉を開けると、全身ピンクの衣装に身を包んだ男性が、ローラースケートを滑らせ明るく出迎えてくれる。ショーを見に来たのかと錯覚してしまいそうになるが、ここもれっきとしたスナックである。
店長はスーパーアイドル?
「はじめまして。アイドル店長の日野誠です」
キラキラの笑顔で話しかけてくれたアイドル店長は、地元のテレビやラジオにも出演中のスーパーアイドル(ピン芸人)。かつて、人気バラエティ「銭形金太郎」でも取り上げられ話題になったこともある。
「この店のオーナーである大田さんから、“宮崎のエンタメを盛り上げるスナックをやらないか”と誘われたとき、そのコンセプトにとても共感したんです。僕も以前から、宮崎のエンタメはまだまだ盛り上がる余地があると思っていて。特にお笑い系とか。だから、宮崎の芸能を志す人たちが、芸を披露し、お金を稼ぐことができる場所を作りたいと思いました。お笑い芸人の卵たちがいれば、ぜひここでネタを試してもらって、ゆくゆくは育成のお手伝いもできたらいいな」とアイドル店長。
そう語る様子を、スタッフとして働く地元のお笑いコンビが見守る。同店には他にも、ラジオパーソナリティーやダンサーなど、エンタメ業界に身を置くスタッフが多数在籍しているのだ。
オープンまでのドタバタ劇
コロナ禍でのオープン。その一週間後にはまん延防止等重点措置が発令され、お店は即休業に。なぜ今、お店を開いたのか。
「実は、オーナーからスナックの話を聞いたのは昨年11月。その2カ月後の1月にオープンしたので、準備期間も短く、正直バタバタでしたね。本当はもっと適したタイミングがあったのかもしれません(笑)。でも、“いつか“を待っていたら、旬を逃してしまう気がして。思い立ったら吉日。こういうのはね、やろうと思ったときに、やるんです」
アイドル店長のこれまでの芸能人生も、こうした挑戦の連続だったに違いない。
店内中央には、音に反応して光り方が変わる照明を設置。カラオケやギターだけでなく、どこか80年代を思わせるような貸出用の衣装、ペンライト、さらにはなぜかハリセンまで常備されている。客席を盛り上げるための準備は惜しまない。
アイドル店長は「僕は、ステージで照明を浴びてパフォーマンスをすることの楽しさや気持ちよさを知っているから、やっぱりお客さんにもそれを体験してほしい。もちろん見るだけでもいいけど、せっかくなら、一緒にエンタメを作ることができるお店にしていきたいですね」と嬉しそうに語る。
原点は、修業を積んだ大将のお店
アイドル店長には、密かに理想とするエンタメスナックがあるという。
「実は僕、GOGOGOというスナックで4年間修業していたんです。この店の大将(マスター)がまた凄く引き出しの多いエンターテイナーで。週末はいつも満席、宮崎に来たらこの店に行くと決めている県外客もたくさんいるんです。このお店のようになるのが今は憧れですし、ゆくゆくはライバル的存在になりたい」
世代を問わず足を運んでもらえるお店を作るため、最近はインスタグラムを活用したSNSでの発信にも力を入れる。
店名の名付け親はあの人
店名「ENTERTAINMENT SNACK FARCE(エンターテインメントスナック ファルス)」は、宮崎出身のお笑いコンビ・とろサーモンの村田さんが名付け親だそう。
「“ファルス“という言葉には、茶番、滑稽な、という意味があります。ここに来れば何か面白いことが見れる、そんな場所にしたいですね」とアイドル店長。
月に1度のイベントデーでは、オーナーやアイドル店長がこれまで築いてきた繋がりを生かし、宮崎県外からバラエティに富んだ芸人を招く。ここファルスから、ニシタチに新しいエンタメの風が吹くはずだ。
「いい意味で、まだ未完成なんです」とアイドル店長は終始にこやかに語る。誕生したばかりの「エンターテインメントエンターテイメントスナック ファルス」は、究極のエンターテインメントを目指し、日々進化中。宮崎のエンタメ、そしてこの店の成長を体感すべく、まずはぜひお店に足を運んでみていただきたい。
取材・執筆=いちたになな、撮影=田村昌士
Data
日野誠
パラダイス銀河(宮崎)からやってきた、スーパーアイドル。宮崎サンシャインFM「まこととなあるのホントに大丈夫?」、「土曜ゴゴイチ!」レギュラー出演中。