新世代のママが営む王道スタイルの店
｜スナック LIFE
黒や白の落ち着いた色合いでまとめられ、落ち着いた雰囲気を醸す「スナック L I F E」。ベテランママが切り盛りしているのかと思いきや、カウンターで待っていてくれたのはまだ年若い女性だ。それもそのはず、聞けば「今は看護学校を休学中なんです」とのことで、夜の仕事を始めてからも1年ほどしか経っていないのだそう。今回はそんな原田百合果ママと、前職からの縁を結び現在に至るというオーナー・川崎逸平さんのお2人にお話を伺った。
「スナックとはこうあるべき」の壁を打破して
百合果ママ「若いねってよく言われます。しかもずっと夜のお店で働いていたわけでもなくて、まだ1年位なので経験も浅いんです。今L I F Eはオープンして半年なのですが、その前の半年間だけ、キャバクラで働いていました。オーナーの川崎と出会ったのもその店で。新しい店をやるからママをやってみないかというお話をいただいて、この年でそんなチャンスは二度とないだろうと思いチャレンジしてみることにしたんです」
スナックと言えば、ママやマスターが巧みに会話を回して…というイメージもあるが、聞けばこの店のスタイルは少し違うようだ。最初は百合果ママも川崎さんもスナックとはこうあるべき、という理想を目指すべきか悩んだそうだが、店に足を運ぶ客たちはその初々しさやオリジナリティを含め楽しんでいる様子。
百合果ママ「私自身あまりスナックに行ったことがなかったので、何が正しくて何が違うのかわからなくて。お酒の種類もほとんど知らなかったので、ウーロンハイをウーロン茶とウイスキーで作ったりしてしまいました（笑）。でも、開店当初から来てくれているお客さんに、『最近ママっぽくなったね』と言ってもらえたりして嬉しいです。スナックの接客は１対1なのでいろんな対応の仕方を身につけなければいけません。まだまだ毎日、勉強させてもらっています」
川崎さんも、「百合果ママの落ち着いた佇まいを見込んで声をかけたと」話してくれたが、手探りの中でも客と一緒に店を育てている姿に、逞しさすら感じられる。応援するような気持ちで通ってくる客も少なくないのではないだろうか。
スナック通いが功を奏して
そもそもお店をオープンすることになった経緯を尋ねると、オーナーの川崎さんが、前職ならではのエピソードと一緒に話してくれた。
川崎さん「私もキャバクラで働いていたのですが、そのこともあってプライベートで夜の街に出ても、同業の店には行くことができなかったんです。それでスナックに行くようになって、8年くらいスナック通いをしてたら大好きになっちゃって（笑）。その中で宮崎には若い人がやっているスナックがないなと気づき、自分達でやってみようと。それで百合果ママに声をかけたんです」
とにかくスナックが大好きだという川崎さんが通っていた店を聞いてみると、ニシタチの老舗スナックの名前がどんどん出てくる。話をしている時に見せるその笑顔からも、スナック愛を感じることができる。
＃宮崎一若いママの店
冒頭でも少し触れたが、実は百合果ママ、看護学校を休学中の学生である。今後のことを聞いてみると、今は仕事が楽しいんです、とイキイキした表情で話してくれた。
百合果ママ「この仕事を始めてみて今とても楽しいので、自分に合っているんじゃないかなと思っています。実は私、全然話すのが得意じゃなくて、最初はまったく駄目だったから…その頃に比べたら話せるようになったし、すごく鍛えられたなと思いますね。まだまだ日々勉強ですが、このお店で色々な方に出会えたら嬉しいです」
最近ゴルフを始めたという百合果ママのゴルフウェア姿などを見ることができる「スナック L I F E」インスタグラムアカウントには、「＃宮崎一若いママの店」の文字が。新世代が営む王道スタイルのスナックは、ニシタチが生んだ新たな文化なのかもしれない。今後の展開もぜひ、追いかけていきたいところである。
（この記事は2021年12月15日に取材したものです。まん延防止等重点措置適応期間中、または国や県からの営業自粛要請を受けている期間中は営業を行っていません）
取材・執筆＝倉本亜里沙、撮影＝田村昌士
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ママ＝原田百合果、オーナー＝川崎逸平さん
宮崎県宮崎市出身。学生時代の部活は剣道とソフトボール。カラオケの十八番は高橋真梨子の「ごめんね」と、テレサ・テンの「時の流れに身を任せ」。
